彼女の説得工作に見事に負けて私は11月下旬に結婚し、12月中旬にその彼女は私の家にやってきた。一緒に暮らすのも楽しいなあ、と思い始めた1月下旬に子供が産まれ、その5日後にくも膜下出血で産院から神経外科に緊急入院した。2週間後の今、5日前に確実に脳死しますと宣告された彼女は(ドイツの医師はこのあたり容赦ない断言をする)酷なる状況を見事にギリギリでサバイブした。脳幹の大規模な梗塞で意識を取り戻す見込みはない、という程度の所見にまでに回復した。 うれしい。彼女が存在していること。 負け戦をボロボロになって闘ったのは彼女である。でも私は彼女を救ったような気さえしている。幾度にも渡る過酷な決断に直面して飯を忘れたせいか、指がやせ細って手を洗っただけで彼女が私に押し付けた結婚指輪がずり落ちるようになってしまった。そもそもこんな拘束具みないなものしたくないなあ、と思っていた。別にしなくていいのだろうけれ
先週の土曜日、NHK総合テレビで「ドキュメントにっぽんの現場『いのちの約束〜北大病院・澤村先生と子どもたち〜』」という番組が放送されたのだけれど、これが素晴らしかった。特に、番組の主人公である澤村先生と、その患者さんのきよかちゃんが素晴らしかった。 内容はというと、北海道大学病院に澤村豊先生という54歳のお医者さんがいて、この人を追ったドキュメンタリーだ。澤村先生は小児脳腫瘍の権威で、日本中から小児脳腫瘍を患った多くの子供たちが診察を受けに来る。そのうちの一人に、きよかちゃんという10歳の女の子がいた。きよかちゃんは、2年前の8歳の時に小児脳腫瘍が見つかった。見つかった時、地元の病院では「すぐにでも手術が必要」と言われたのだけれど、澤村先生に診てもらったら、「薬で経過を見ながら、もし必要だったら手術をしましょう」ということになった。このことから分かるのだけれど、澤村先生は手術にとても懐疑的
もう、10年くらい前になるのかなぁ。 疎遠になってた、幼馴染が白血病で死んだという報せを受けた。 でも、俺は遊びたいさかりの頃でそいつの死を口実にバイトをさぼって 女の子と遊びに行ってしまった。 後から凄く、凄く、罪悪感が生まれてきて自己嫌悪。 その気持ちをごまかすために? それともそいつの力になれなかった無力感から? 骨髄バンクに登録した。 いつしか自分がドナー登録していることすら忘れていた。 そして去年の11月初め頃、バンクから分厚い封筒が届いた。 ドナー候補に選ばれたらしい。 全然、実感が湧かなかった。でも、困ってる人がいて、そいつを助けられるのは 俺だけかも知れない。「人助けするのに理由はいらんやろ」と自分に言い聞かせていた。 しかしこの頃は、俺はただの偽善者か?自己満野郎か?と、ふと思う。 11月に採血をして適合検査。 この時の説明では自分の他にも、も
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く