ただ無に帰するんだよ「ふわふわのふわりんさ,妖精さんの光の粉だよ.存在しちゃいない.物質じゃない.元素表なんかに載っちゃいないんだよ.」――マーク・ハンナ 株式市場や暗号通貨市場の崩壊について,このところずいぶん書いていて,たまに,こんなことを言ったりする――「2021年後半のピーク時に比べて,想定元本の2兆ドル以上が,いまや消え去ってしまっている.」 すると,こんな質問が寄せられることがある.「その富はいったいどこに行ったの?」 一言で答えるなら,どこにも「行って」はいない.消失したんだ.存在をやめてしまったんだよ.とはいえ,そんなことを聞かされても,自然にピンと直観でわかる話じゃないよね.「なにがどうなれば富が消失してしまうなんてことが起こりうるのよ.」 そこで,今回の記事ではそのへんがどういう仕組みになっているのかを解説しよう.このあと読んでもらうとわかるように,これには政策への含意