横浜市が進めている公立保育園の「民営化」に対して、横浜地裁が「手続きを急ぎすぎ、裁量権の行使に逸脱、乱用がある」として「違法」を宣告した。民営化の見直しを求める園児の親たち原告団は判決を評価したが、問題は多い。判決の10日後に、2005年の合計特殊出生率が1.25と最低を更新したことがわかり、国の少子化対策の遅れがまた指摘された。実は、保育園の民営化こそ、行政が取り組める少子化対策の第1弾なのである。幸いなことに、目の前の親の些末な言い分にとらわれて、全体的な視野に欠けたこの判決に、他の多くの自治体は静観の姿勢で、民営化見直しへの動きはない。 保育サービスは最早「官」の事業ではない 財政難にあえぐ市区町村が公立保育園の切り離しを始めたのは3、4年前からだ。既存のあるいは新設の保育園の運営を社会福祉法人や企業、NPO法人に委託したり、建物を含めてこれらの事業者に無償貸与したり、あるいは指