基本的に、おれは旅先での思わぬ出会いを喜ぶような人間ではない。もちろん、全く喜ばないわけではないのだけれども、最終的にはわずらわしいと感じてしまうことの方が多いのだ。大して興味のない話にほおほおと相づちを打つのも面倒だし、話が盛り上がったら盛り上がったで、今度は話を打ち切るタイミングに頭を悩ませることになる。 これはおれの経験則から言うのだけれども、そもそも、見ず知らずの人間に積極的に声をかけてくるような人間には、現役時代にテンプルを打たれすぎたような方も少なくない。 昔、オフ会で小旅行に出かけたときの話だ。おれたちは、真の天皇家を名乗る奇妙な男に絡まれ、小一時間ほど彼の偉大な念能力にまつわる素晴らしいお話を拝聴する事態に陥ってしまった。彼の念能力はおそらく操作系に属するもので、対象の血族(九代先の子孫をも含む)をまるごと発狂させるという、凶悪極まりない性能を持つのだという。彼の話そのもの
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