日本の男子マラソン界が少しおもしろくなってきた。やっと強烈な個性のランナーが出てきたという感じがするのだ。もちろん、26日の東京マラソンで14位に沈んだ川内優輝(埼玉県庁)と2位に入った藤原新(東京陸協)のことである。 ふたりともどこか「変人」のにおいがする。川内は福岡国際で日本人トップの3位に入った。ロンドン五輪を考えるとき、次のレースを走らない、という選択肢もあったろう。しかし、彼はあえてリスクを犯し、東京で五輪切符を奪いに行った。だが、結果を見るかぎり、ロンドンは遠のいた。 藤原は2年前に所属企業の駅伝中心の強化方針に疑問を抱き、退社した。新たに会社と契約したのはよかったが、その会社が経営難となり、昨年秋に契約を解除されている。妻子と離れ、東京で単身、練習を続けてきたという身の上は、まさに「覚悟」のうえの背水の陣だった。 川内はレース翌日、丸刈りにした。「応援してくれた人のため