日本で長期低落傾向にあるものといえば物価、政治家の質など、政治経済に関するものがすぐに思いつくのだが、より長期的で深刻な悪影響があるのは国民の科学技術への関心度の低さであろう。本書『科学嫌いが日本を滅ぼす』の冒頭でも、30年ほど前には高校での物理学の履修率は7割を超えていたのだが、いまでは3割以下に落ち込んでいると著者は嘆いている。まさにそのとおりで、福島原発事故直後の言論人の科学に関する頓馬ぶりには、ただただ驚愕するばかりだった。原発が原爆のごとく核爆発すると思っていた自称専門家すらいたほどだ。 ところで、すべての生き物は神が創りたもうたもので、進化論など絶対に信じないという不思議な人々が多数いるアメリカですら「サイエンティフィック・アメリカン」という一般向け科学雑誌が50万部も売れている。しかし、日本ではその20分の1しか読者はいない。 外国企業からみるならば、日本から科学技術を奪いと