またしても凄まじいライヴだった。しかもジェイク・バグの凄まじさが少しずつ意味を変えてきていることがわかる、3度目の来日、その初日公演だった。 たとえば昨年5月の初来日公演、たったひとりステージに立ったジェイクのパフォーマンスは、必要最小限の音が完全に正しく鳴っている様にひたすら圧倒されるものだった。続く夏のサマーソニックのステージは、彼のそんな歌のシンプリシティが大会場を制圧していく様に、ひたすら興奮させられるものだった。いずれにしてもびっくりするような才能を目の当たりにし、感動のシャワーを頭からザーザー浴びるような、ある種一方的な体験だったと言っていい。 それに対して今回の横浜BAY HALL公演には、起伏があり、循環があった。普遍的なメロディがふとした瞬間ごくパーソナルな情景へと色を変え、激しくうねりのたうっていたグルーヴがいつしか緩やかなまどろみとなって空気を混ぜていく。激しく、静か