印刷 メール 震災後 詩を信じる、疑う 吉増剛造と谷川俊太郎(1/2ページ) 吉増剛造さん=竹谷俊之撮影 谷川俊太郎さん=安冨良弘撮影 東日本大震災は、言葉のみで作られる詩の世界の地軸をも強く揺さぶった。詩人たちは、震災後の世界とどう対峙(たいじ)し、自らの仕事や役割をどう位置づけているのか。日本の現代詩を代表する吉増剛造と谷川俊太郎にいま「詩とは何か」を聞いた。 ■吉増剛造 言葉を粉々に砕き、別の声を出す 昨年、岩手県陸前高田市を訪ねました。コンビニ店の青い看板、畳、年賀状が落ちている。ブルドーザーが大きな手でがれきを掻(か)き出していた。その時、それらは名付け得ぬものであり、撮影したり表現したりしてはいけないもの。ただ頭をさげなくてはいけない。そんな声が聞こえてきた。 普通に通用している言語では表現できないような深いことを経験されたから、つらくて口をつぐんでいる方は多い。テレビの映像や