「二重基準」「不公正」。10月末に結果が公表された国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(世界記憶遺産)の審査に対し、「南京大虐殺文書」を登録した前回との整合性を問う声が申請者から相次いでいる。「南京」としばしば対比される通州事件や、憲法9条関連の申請案件が政治的として、審査前に事実上の却下とされたためだ。審査の透明性が依然として確保されておらず、登録・不登録の理由すら開示されない現状が背景にある。(社会部 寺田理恵) チベットと共同申請 「人権侵害事件-チベットと通州の事例」を申請していた民間団体「通州事件アーカイブズ設立基金」(東京)は10月31日、審査結果公表を受け、「ユネスコが申請を却下したことが判明した」などとする抗議声明を出した。 世界の記憶は、誰でも申請できる。同基金は昨年5月、チベット亡命政府元議員と共同申請を行った。 内容は、日中戦争開始直後に北京郊外で多くの日