いま、九州の経済人を中心に福岡空港の移転が検討されている。移転の「根拠」は、皮肉なことに福岡空港の利便性の高さだ。現在の福岡空港から博多駅までは、地下鉄でわずか数分の距離だ。まさに日本で一番便利な空港といっていい。ところがこの近さがあだとなった。 いわく、航路の近隣には住宅・商店街が広がっている。離発着時の騒音公害を考えると、24時間営業には踏み込めない。となると東アジアに対するハブ空港としての役割も担えない、というわけである。不可解な理屈である。騒音だけが問題なら、伊丹空港(大阪国際空港)のように乗り入れ機種の変更で解決する算段はないかと検討してみるのがまっとうな対応であろうとわたしは思うのだが。また最近、わざわざ国内線から遠く離れて建設された立派な国際線ターミナルが閑古鳥の鳴く状態にある。「アジアのハブ論」もいささか怪しい。 ところが、移転推進派はそうは考えないらしい。地元の財界で