00. 長く耐え難かった夏もようやく、ようやくのこと、終わった。 今敏が最後に記したウェブログ「さようなら」は、掲載から1か月で閲覧数が20万を超えている。 あれを遺してくれたおかげで残された者たちがなにがしかをステイトメントする必要もなく、その意味ではたいへん楽をさせてもらった。 事実を伝えるにおいて過不足なく、よく練られ、構成され、エンタテインメントとしても成立する笑いのある文章。彼の作る映画と同じ才気が感じられる。ああいうものを自称素人に書かれては自称玄人としてはたまったもんじゃないが、これも才能の違いだ、しょうがない。 「さようなら」の文章に限らず、彼の3か月はなにかにつけ「迷惑をかけまい」とする配慮と行為の集積だった。周囲の人間、そして自分自身への感謝と思い遣り。それを実現するための周到な計算と強靱な意志による実践。 3か月という「生活」さえもまた彼の作品だった。 それに対してな