確かにウクライナは加盟国内の少数・地方言語の保護・発展のための「地方または少数言語のためのヨーロッパ憲章」を批准しており、ロシア語は少数言語に認定されている。 が、その保護・発展のための具体的な法制度は整備されてこなかった。 「言語法」案は、上記ヨーロッパ憲章を根拠として「ロシア語の力強い発展を保障するため」、ウクライナ国内に少数言語、地方言語という法的地位を設け、国家語に迫る権利付与を画策しているものだ。 この動きに対し、早くも「ウクライナ民族主義勢力」(本稿ではウクライナ西部の民族主義観に基づく勢力を指す)からの抗議行動が湧き上がっている。 ロシア語は少数言語か? 現在の国家は、多くの言語を抱え込んでいる。近代国家が成立する以前から、多様な言語の話者たちが暮らしているわけだから、「1言語1国家」がなかなか実現しないのは当然だろう。 ウクライナもまた、ウクライナ語、ロシア語、ポーランド語