地球温暖化をはじめ、貧困・飢餓、伝染病など世界の緊急課題に対し、費用便益の観点から順位付けを行う画期的な試みが「コペンハーゲンコンセンサス」である。2004年(CC 2004)に発表された内容については、すでに 当コラムで紹介 したが、その続編である昨年の発表(CC 2008)について前回から検証している。ここまで、コペンハーゲンコンセンサスの背景や位置づけ、参加メンバーなどを解説し、CC 2008では「研究開発と適応で一定の効果が期待できる」というG.W. ヨーヘ(米ウエスレヤン大学)他の提案を検証した。今回はそれに対する反論を中心に考察を加える。 C. グリーン(カナダ・マギル大学)のペーパーは反論というより、技術の重要性にもっぱら焦点を当てて自説を述べる体裁をとっている。グリーンは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次報告第3作業部会の(緩和に関する)報告書に多くの点で賛意