脚気は心不全および末梢神経障害を来たす疾患で、明治から昭和にかけての日本では、年間に2万人以上が死亡する年もあった。現在は、脚気の原因はビタミンB1欠乏であることがわかっているが、当時の日本では、脚気の原因について激しい論争があった。ビタミン欠乏説に反対した医学者は、主に東大出身者であり、「事実よりも権威重視」「頭が固い」といった批判をされることがある。たとえば、東大病理学教授の緒方知三郎が、脚気の原因として中毒説ないし伝染病説を重視すべきで、「ビタミン欠乏が脚気の原因をなすとは到底信じられない」と述べたことに対して、後年、「(緒方は)あまり根拠のない仮説を過信したにすぎなかったのである」*1と評されている。 もちろん、権威を過信すると失敗するという一面はある。しかし、新しい学説に対し、保守的な立場を取る科学者もまた、科学の進歩のために必要なのだ。ある一つの研究で、新説が完全に証明されるこ
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