やはり「氷山の一角」だったのか。建築物のくい打ち施工データ偽装が広がりをみせ、建設業界への不信感が一気に高まっている。こうした中、かつて旭化成建材の下請け会社に勤務していた元くい打ち職人の70代の男性が産経新聞の取材に応じ、「記録ミスをすればごまかすしかなかった」とデータの改竄(かいざん)が常態化していた実態を語った。 「データ記録を取ることは、くい打ち工にとって『絶対』。でも、毎回きちんとデータが取れる保証はない」 平成元年ごろまで約30年間、くい打ち工事で重機操作のオペレーターとして働いていた男性は、こう話す。くい打ち職人にとってデータ記録は“仕事の証し”。かつてはデータ記録の枚数に応じて給料が支払われたという。 ただ、現場で問題が生じると禁断のデータ改竄に手を染めた。具体的には、くいの長さが強固な地盤に届かなかった▽記録開始スイッチの押し忘れや記録紙のセット忘れなど人為ミスがあ