「なぜ台湾の人々は、日本のことが好きなんだろうか」 そんな素朴な疑問を持つ日本人は少なくないだろう。台湾の各種のアンケート調査で、「最も好きな国」を問うと、いつも1位は「日本」である。それも、単数回答方式だと、2、3位を争う中国やアメリカに「10倍」もの大差をつけて日本がトップになる。 これらの圧倒的な差は、言うまでもなく、気の遠くなるような時間をかけて築いてきた日本人と台湾人との信頼の大きさを物語っている。では、台湾の人々は、なぜそこまで日本と日本人を信頼してくれているのか。 私は、その答えを示す1人の「英雄」の生涯を描いたノンフィクション作品を2016年12月、上梓した。それは、私にとって長年の悲願でもあった。 『汝、ふたつの故国に殉ず―台湾で英雄となったある日本人の物語』(角川書店)である。 「湯徳章紀念公園」にある徳章の胸像(撮影:小森 利恵) この本は、台湾の出版社「玉山社」が原