6月下旬、都内のある道場。筆者から3メートルほど離れたところに、男が真っ直ぐ立っている。男は「これから私が、あなたに跳びかかりますから、かわしてください」と静かに言う。筆者はまばたきもせずに男を見続け、動き出したらよけようと思っていた。しかし次の瞬間、男の姿は筆者の目の前にあり、男の手は筆者の喉もとで寸止めされていた。 その男、高岡英夫は、江戸時代の剣豪の領域に達さんと修行を重ねてきた武術家であり、運動科学総合研究所の所長として人間の身体の可能性を追求してきた研究者でもある。高岡は、現代人は人間に備わった運動能力の2割しか使っていないと言う。身体の中に眠れる能力を発現すれば、人間はもっと違った次元の運動ができる。筆者に高岡が見せた、漫画の1コマのような速さもその一つだ。高岡の指導によって、能力を開花させたオリンピック級のアスリートも枚挙に暇がない。 高岡英夫(たかおか・ひでお) 幼少期から
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