世の中のプロ野球選手は、大きく二分化することができる。 華々しくキャリアに幕を下ろすか、ひっそりとキャリアに幕を下ろすか。 あらゆる人々に愛され、親しまれ、大々的な引退セレモニーで幕を下ろす選手なんて、ほんの一握りしかいない。ある秋の日に呼び出され「お疲れさん」と解雇通告を受ける選手、すべての試合を終えてから引退を発表する選手。そんなふうにひっそり球界を去っていく選手のほうが、ずっとずっと多い。 9月25日、秋晴れのQVCマリンフィールド。ホームベースに設置されたマイクの前に立った「背番号3」は、最後にこう絶叫して挨拶を締めくくった。 こんな私ですが、22年間もの間、愛してくださって、本当にありがとうございました! それをライトスタンド、白に染まる集団の真っ只中で耳にした僕は、こう思った。 「こんな私」を愛せた僕は、本当に幸せ者だった、と。 朝8時の海浜幕張駅に降り立った僕は、コンビニに立
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