今回はキャッシュ・フロー計算書の構造を見ていこう。 多くの人は暗黙のうちに,利益が出ていれば企業が抱えるキャッシュ(注1)も増加すると思っているかもしれない。しかし,図1を見て欲しい。少々古いデータであるが,1995年3月期から98年3月期までのNEC,富士通,ソニーという電気メーカー3社の利益とキャッシュ・フローの推移だ(図中の「フリー・キャッシュ・フロー」については次回後述)。95年3月期を除けば,棒グラフで表されている利益は3社ともプラスである。だが,同時期に折れ線グラフで表されているキャッシュ・フローがプラスなのはソニーだけである。利益とキャッシュ・フローはこれだけ違うのである。 図1●利益とキャッシュ・フローの違い 1995年3月期以外,3社とも利益はプラスだが,フリー・キャッシュ・フローがプラスなのはソニーだけ。利益とキャッシュ・フローは別物であることが分かる NECと富士通は
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