「一行目を読めばすべてわかる」は幻想 小説の一行目が大事だ、ということはよく言われます。確かにそうだと思います。 でも、一行目にその小説のすべてが詰まっている、とか、一行目を読めばすべてわかる、とか、そこまで行くとただの幻想です。でもそのような幻想が生まれる背景というものはあります。 一行目を書く時、作家はやはり、特別な気持ちで書きます。また執筆のなかで、一番目に触れるがゆえに、一番ブラッシュアップされるのは一行目になります。 必然的に一行目は名文となる可能性が高いのです。だから読書体験のなかで、一行目で心を摑まれる、ということが、起こるわけです。 では僕らは、どのようにその一行目を書けば良いのでしょうか? 自己紹介風のモノローグはやめたほうが良い まず最初に、やってはいけないことから先に触れます。 慣れていない人だとついつい「この街に生まれて二〇年が経った」というような、自己紹介風のモノ
![『雪国』の冒頭は英訳すると景色が変わる…「伝説の小説講座」で教えていた"名作の1行目の法則"とは 断言しているにもかかわらず謎のある文章がいい](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/c68ca58cee77d615da1ab9addcfbf3cb225e8035/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fpresident.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Fc%2F5%2F1200wm%2Fimg_c5bff7a53212e56d45229133ce5ffa9f509088.jpg)