【ロンドン=稲村雄輝】1日に行われた射撃女子25メートルピストルの小西ゆかり選手(33)は、時給850円のラーメン店でのアルバイト代で食いつなぎながら競技に取り組んできた。 離婚、就職難。それでも2度目の五輪でメダルを目指したのは「被災地を励ましたい」との思いからだった。結果は予選敗退。だが小西選手は「最後まで被災地へ心をこめて撃った」と語った。 ピストルの銃口を25メートル離れた黒い標的に向ける。一瞬の間をおき、引き金を引く。次の瞬間、パーン、と乾いた音を立てて標的が撃ち抜かれた。 小西選手と射撃との出会いは、ひょんなことがきっかけだった。高校まで北海道八雲町で育ち、保育士を目指していた。友人に誘われ、自衛隊の試験を受けたところ、「たまたま合格した」。東千歳駐屯地で勤務していたが、小銃の検定試験で成績が良かったため、自衛隊体育学校の教官から声が掛かった。 2002年のワールドカップで日本