いっぷう変わった数人の男女が地下鉄駅から現れた。 8月12日。首都ワシントンで、白人こそが他の人種より優越していると主張する白人至上主義団体と、許しがたい人種差別だとして抗議する市民の集会がそれぞれ開かれた。ちょうど1年前、バージニア州シャーロッツビルで両者が衝突。白人至上主義の男性が運転する暴走車にはねられ、市民1人が亡くなった。 「ファシズムは許さない」「憎悪より愛を」。この日の首都には、白人至上主義団体をはるかに上回る人数の市民が思い思いの看板を手に集まった。こうした動きに対抗する「カウンター」の市民もいた。各地で白人至上主義者らと激しく衝突する「アンティファ(アンティ・ファシズム)」の活動家も押しかけた。 くだんの男女たちの風貌は、少し〝こわもて〟で、黒いTシャツにはこう書かれていた。 ――私は元ネオナチ。質問受け付けます―― 「ファシズムには絶対反対。でも私たちはカウンターではな