かつて裏風俗店で賑わった街には今、中国語の看板が煌々と光り、日本語は影が薄い。埼玉・西川口で中国人によって進行する街の新陳代謝を安田峰俊氏がレポートする。 * * * 薄暗い階段を登ると、荒っぽい口調の中国語の若者言葉が聞こえてきた。2階の店内にはビリヤード台と、20台ほどのハイスペックパソコン。十数人の若者がヘッドホンを付け、王老吉(ワンラオジィ)や冰紅茶(ビンホンチャア)(いずれも中国の清涼飲料水)で喉を潤しながら画面を注視している。 彼らが延々とプレイしているのは、中国で人気のインターネットゲームだ。中国人の若者は、ネットカフェをEメール送信などの一般的な用途で利用するのではなく、雀荘やゲーセンに近いノリでたまり場にすることが多い。