こんにちは。 藤沢Kazuです。 今日は、久しぶりの書評です。 強欲資本主義 ウォール街の自爆、神谷秀樹 タイトルと著者の略歴から、どうせ浅薄な外資とアメリカ批判の本だろうと思って読んでみた。 ちなみに著者はゴールドマン出身で、現在はブティック投資銀行を経営している。 今時、外資系投資銀行出身と言う肩書きは、マンモス大学で毎年何十万人も生産される慶応とか早稲田の卒業生とか、あるいは金さえ払えば誰でも経歴ロンダリングしてくれるアメリカの名門MBA卒業生と同じぐらい希少性がなく価値のないものであり、そして、この陳腐なタイトルと相まって間違っても面白そうには思えなかったのだがなんとなく買ってみた。 いやいや、しかし、この本はなかなのものだった。 タンニンがたっぷり入ったカベルネソーヴィニヨンで作られた上質な赤ワインのような渋みの中にもどっしりとした深みがある、そんな内容だった。 アメリカの金融資
最近、読書の秋です。 今日も面白かった本を紹介します。 すべての経済はバブルに通じる、小幡績 バブルの生成と崩壊に関して、分かりやすくロジカルに説明しています。 最近のサブプライム・ローンと証券化が題材になっているので、とてもタイムリーです。 著者は資本主義=ねずみ講と言い切りますが、確かにある意味その通りです。 文章が読みやすく、なかなかいいです。 しかし、こうやって実際に毎日マーケットを見ていると、教科書的なファイナンス理論の効率的市場の世界観と言うのはなんとも稚拙で単純化し過ぎたものなのだなーとしみじみ思います。 以下、最近、僕がつくづく思うことを列挙します。 (上の本の内容とはあんまり関係ない) 1.教科書の中ではボラティリティーは一定だと多くの場合仮定されるが、ボラティリティー自体狂ったように動く。 2.証券の価格は将来のキャッシュフローをディスカウントレートで割り引いたものと言
ふつう自然科学や経済学で確率を考える場合、ほとんど正規分布を仮定している。しかし実際に世界を動かしているのは、そういう伝統的な確率論で予測できない極端な出来事――Black Swanである。 たとえば9・11の前に、今のように厳重なセキュリティ・チェックが提案されても通らなかっただろう。飛行機ごとビルに突っ込むという行動は、人々の確率論的なリスク評価の枠外にあったからだ。このように、いわばメタレベルで人々の予想を裏切る現象がBlack Swanである。ここでは母集団が未知なので、その確率分布もわからない。圧倒的多数の出来事はごくまれにしか起こらないので、その分布は非常に長いロングテール(ベキ分布)になる。 著者がBlack Swanを理解していた唯一の経済学者として挙げるのがハイエクだが、実は彼より前にこの問題をテーマにした本がある。Frank Knightの"Risk, Uncert
2008年04月21日11:00 カテゴリ書評/画評/品評Money ペア書評 - いちばんやさしいファイナンスの本/アメリカの高校生が読んでいる経済学の教科書 「いちばんやさしいファイナンスの本」は日本能率協会マネジメントセンター杉崎様経由で著者より、「アメリカの高校生が読んでいる経済学の教科書」はアスペクト貝瀬様よりそれぞれ献本御礼 いちばんやさしい ファイナンスの本 保田隆明 アメリカの高校生が読んでいる 経済学の教科書 山岡道男 / 淺野忠克 教科書の日米対決、軍配はどちらに!? 「いちばんやさしいファイナンスの本」も「アメリカの高校生が読んでいる経済学の教科書」もどちらも超初心者向けの本なのだが、前者は「全年齢向けだけどどちらかというと高齢者」というやや曖昧な想定読者に「投資先を知るためのファイナンス」というかなり絞った話題を説いている対し、後者はタイトルにもあるように「高校生以
2008年04月22日01:00 カテゴリ書評/画評/品評Value 2.0 Homo Economicsの正体 - 書評 - 経済は感情で動く 紀伊国屋書店出版部黒田様および水野様より献本御礼。 経済は感情で動く Matteo Motterlini / 泉典子訳 [原著:Economia Emotiva] Molto deliziosa! 著者はイタリア人で、原著はイタリア語であるが、、パオロ・マッツァリーノではない。 本書「経済は感情で動く」は、副題に「はじめての行動経済学」とあるとおり、行動経済学の入門書。行動経済学に関してはすでに光文社新書がずばり「 行動経済学」を出していて、かぶるといえばかぶるのだけど、倍以上の値段を出しても先にこちらを読んでおくことをお勧めする。 目次 - 経済は感情で動く: 紀伊國屋書店BookWebより パート1 日常のなかの非合理 1 頭はこう計算する
Bloomberg Magazine 5月号より: いまウォール街の人々がもっとも話を聞きたがる教祖は、グリーンスパンでもソロスでもなく、ナシーム・タレブだ。彼の"The Black Swan"は昨年5月、サブプライム危機の表面化する直前に発売され、それをほとんど予言したかのようだった。昨年のAmazon.comの年間ベストセラーリスト(ノンフィクション部門)で、グリーンスパンの回顧録をおさえて第1位となり、27ヶ国語に訳されている。 イングランド銀行やNASAを初め、世界中のファイナンスやセキュリティの専門家が彼の助言を求め、講演料は1回6万ドルだ。アメリカ統計学会は、Black Swanに反論する学会誌の特集号を組んだ。しかしBlack Swan自体が、タレブも予想しなかったBlack Swanだ。それはファイナンス業界を変え、金融工学や経済学にも影響を与えている。タレブの次の本"
2008年03月07日03:45 カテゴリ書評/画評/品評Money また株を買いたくなった - 書評 - 企業ファイナンス入門講座 著者のちょーさんより献本御礼。 実況LIVE 企業ファイナンス入門講座 保田隆明 やべえ、血が騒ぐ。 投資家としての血が。起業家としての血が。 本書「企業ファイナンス入門講座」は、「M&A時代 企業価値のホントの考え方」の著者がアカデミーヒルズで行ったセミナーのやりとりを元に、企業価値を改めてホントに考え直した一冊。前著とかなり重なるが、本書の方がより実践的かつ面白い。前著は頭に入るが、本書はそれに留まらず体に訴えてくる。 目次 - ちょーちょーちょーいい感じ:『企業ファイナンス入門講座』:本日とうとう出版より PART1: Life of a Company 『会社の一生』という考え方 PART2: ベンチャー企業時代の資金調達と想定株価のつけ方 PART
経済学者 | 安田洋祐(やすだようすけ) のブログ。久々にデザインを変更しました!(2016年1月28日) 『ヤバい経済学』『実験経済学入門』などの名著の訳出でお馴染みの著名翻訳家、望月衛さんから最新作『まぐれ』を献本頂きました!望月さん、ダイヤモンド社さん、どうもありがとうございました!!(献本を頂いたのは初めてなので喜びも一段と大きいです) 本書の紹介では 「本書は2001年10月に発売されるや、プロのトレーディングの成功は、ほとんどの場合、彼らのプロとしての腕前によるものではなく、まぐれにすぎないことを実証した書として、ウォール街を騒然とさせた。」 とあり、非常にセンセーショナルな本であることが伺えます。ただ、プロのトレーダーの投資方法が胡散臭いものであること、あるいは投資に必勝法がないことを指摘する本は今までも数多く出版されています。もっとも有名なのは『ウォール街のランダム・ウォー
2007年11月21日12:30 カテゴリ書評/画評/品評Money 責任を他者に預けるな - 書評 - お金は銀行に預けるな すっかり書評が出遅れてしまった。 お金は銀行に預けるな 勝間和代 私的なことがらを記録しよう!!: 「お金は銀行に預けるな」ブログ書評「お金は銀行に預けるな」ですが、発売して約1週間、ブログでの書評もいただくようになりました。 それでも書評しておく価値はある。金融リテラシーではなく、リテラシーそのものの本として。 本書「お金は銀行に預けるな」は、今やノンフィクション界のJ. K. Rowlingの感すらある、ベストセラーメーカー勝間和代による金融リテラシー本、に名を借りたリテラシー本。 目次 - 光文社発行の書籍より はじめに 第1章 金融リテラシーの必要性 第2章 金融商品別の視点 第3章 実践 第4章 金融を通じた社会責任の遂行 おわりに 【参考文献】 率直に
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く