押井守 「ナウシカが王蟲の暴走をくい止めようとするシーン。あそこは納得できません。 あの場合、ナウシカはなんと言って王蟲にわびるのか、どう対応するのかというところで、 ナウシカにわびる言葉なんかあるはずないんです。 そんな言葉で許してもらえるような問題ではないのですから。 もうナウシカは王蟲に押し潰されて死ぬしかないはずなんです。 なのに、宮崎さんの作品ではそうはならない。それが可能な世界なんです。 これでは、まったく、ぼくは、宮崎さんの世界に入っていけない。 ぼくら見る側はうまく騙されたいと思って見ているわけです。 現実では満たされないものを映画の中で見せてほしいと。 でも、あの描かれ方ではそうはならない。騙すのなら、最期まで騙してほしい」