2011年3月12日、最大震度6強の県北部地震で被災した下水内郡栄村。復興途上の村内で住民らの大切な憩いの場の一つになっているのが、温泉宿泊施設「トマトの国」だ。有志でつくる企業組合「ぬくもり」が村振興公社から経営を受け継ぎ、この4月で1年になる。消費増税や新型コロナウイルスの感染拡大などで経営は厳しいが、震災前から変わらないぬくもりの場を守りたいと、スタッフも住民も願っている。 「今日も気持ち良かった。こんなにいい温泉、他にないよ」。日も陰り始めた夕方、ロビーでくつろいでいた風呂上がりの常連客らが、ぬくもり代表理事の関谷聰さん(66)に声を掛けた。「期待に応えないといけないなあ」。関谷さんはうれしそうだ。 常連の中には年に300日以上通う人もいるという。周りから長老と親しまれる桑原賢治さん(93)もその一人。赤茶に少し濁って湯冷めしない泉質が気に入り、震災前から20年近くほぼ毎日通ってい
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