著: 山口 亮 「人がいっぱいいるから、何かおもしろいこともあるだろう」。富山県高岡市で生まれ育った私の考えはとても単純だった。田んぼのど真ん中で高校生活を過ごした私は、そんなわけで東京へ進学することを決めた。 通学は自転車で30分、週末にはイオンで映画鑑賞。お小遣い欲しさにこっそりアルバイトをし、いい加減な恋愛をして気がついたら受験シーズン。特別なことは何もなかったように思うし、だからこそ「なんでもありそうな」東京に行けば何かが起こるような気がしていた。 「お父さん、手続きも受験も全部自分でやるので100万円だけください。あとはなんとかします」 そう頭を下げて受験を乗り越え、東京に引越した。 大学生活をそこそこに過ごし、進級のタイミングで選んだ引越し先は中央線沿線の阿佐ヶ谷だった。それまでと異なる校舎に通学することになり、利便性や家賃相場のバランスを考えて選んだ場所だった。中央線カルチャ
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