政府が国民の目から隠れて、悪事を働いている。ある時、内部告発者が現れ、それを暴露する。政府は「内部告発者は犯罪人。だから信頼できない」と反撃する。 こんな状況下で、新聞はどう対応すべきか。大々的に報道すべきなのは、政府の悪事か、それとも内部告発者の犯罪か。 9万点に上るアフガン戦争秘密文書「アフガン戦争日記」の暴露が格好の事例になる。 7月26日、匿名の内部告発を公開するウェブサイト「ウィキリークス」から情報提供を受け、米ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙など一部の有力メディアがアフガン戦争日記について一斉に報じた。同文書には、アメリカ軍の攻撃によって多数の民間人が巻き添えになって死亡した記録をはじめ、「政府が隠しておきたい情報」が含まれている。 ホワイトハウスは怒り心頭に発した。国家安全保障担当の大統領補佐官ジェームズ・ジョーンズは声明を発表し、「秘密情報を暴露すると、アメリカと同盟国の