今回の講義紹介は、毎年夏学期に開講されている「科学哲学」について紹介する。この講義を担当している野矢 茂樹 助教授にお話を伺った。 「科学哲学」で扱う領域 「『科学哲学』とは何か」と尋ねられると、まず基本的には「哲学」なんです。「哲学」というのは、学問の一領域というより、一つの方法です。そしてその「哲学」という方法には「ある対象について根本的に考える」という特徴があるわけです。例えば、言語の成り立ちを言語学とは違う形で、ある根本的な問いを立てて考えていく場合「言語哲学」となるし、心について心理学とは違う形で根本的に問うていくと「心の哲学」ということになります。同じように、「科学」という対象に対して「科学って何だろう?何をやってるんだろう?」とか「今ある科学が唯一絶対のものなんだろうか?」あるいは「これから先、科学はどうなっていくのだろうか?」というようなことを根本的に問おうとするのが「科学