近頃の欧米メディアには、日本を見下した論調が目立つ。たとえばアメリカの『タイム』誌は、日本を「不活性の島」と呼んでいる。 それも無理はない。あきらかに日本は、一種の国民病をわずらっている。将来に対する悲観論と、機能不全に陥ったかのような民主主義政治への不信感が、ともに高まっている。いまや日本は、三度目の「失われた一〇年」に入りつつある。世界第二位の経済大国の座を中国に奪われかけている。多くの社会問題が出現しているにもかかわらず、政府は打つ手を失っている。一九八〇年代末に最高潮を迎えた「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の幻想は崩れ、絶望に姿を変えた。ズキズキ痛む、気が遠くなるほど重い病に打ちひしがれ、日本は衰退の一途をたどっている、という気分が蔓延している。 日本人の欠点は我慢し過ぎることかもしれない。だが、その日本国民が、この状況を変えて未来への希望をもたらすことができない政治エリート層