新型コロナウイルスの影響で社会の格差はさらに拡大している。社会は今後、どうあるべきなのか。政府やメディアの姿勢を批判する平野啓一郎さん(46)に、その真意を語ってもらった。 「対案出せ」は怠慢 --昨今は批判することへの風当たりが強く、野党に対する世論が厳しいです。 僕は新しい小説を出す前には、いろんな人に原稿を読んでもらい、意見を言ってもらうようにしています。反論すると相手は萎縮してしまうので、ただ黙って聞いています。すると、集まった意見の中から問題点が浮かび上がります。もちろん、「他のアイデアを出せ」などとバカなことは言いません。それを考えるのは自分の仕事です。 社会を良くしていこうとする過程で、最初に出てくるのは「批判」です。問題点の指摘だと言ってもいいです。そのうえで解決策を探るべきなのですが、そもそも与党が持っている情報量と野党のそれとは全然違います。少なくとも野党に「対案を出せ