「男はつらいよ」にみる日本の住宅事情 / SAFETY JAPAN [さくら事務所] / 日経BP社第85回 「男はつらいよ」にみる日本の住宅事情 さくら事務所取締役会長 長嶋 修氏 2008年3月19日 寅さんシリーズの第26作『男はつらいよ・寅次郎かもめ歌（1980年/昭和55年）』では、博とさくらが葛飾・柴又の江戸川土手沿いに、小さなマイホームを手に入れる。間取りは在来木造の3DK、外観から推察するに、土地・建物ともせいぜい15〜16坪程度のささやかな家だ。 その家を訪れた寅さんは、『ちっちゃくてみすぼらしい家だねえ』といった悪態をつくが、博は『小さくてもマイホームは庶民の夢なんですよ！』と言い返す‥‥‥‥‥‥‥。 かつての高度成長時代、土地は永遠に上がり続けるという、いわゆる「土地神話」が信じられていたころには、２度のオイルショックなどの特殊イベントをのぞけば、地価は一貫して上昇を続けた。年々上昇するマイホーム価格をみた国民は、なかば強迫観念にかられ『早くしないと買えなくな
