既得権益化する「ぬるま湯経営」 山梨県の保育園で行われた幼児対象のサッカー教室=2006年8月17日【時事】 さて、こうした保育所不足が続く中、利用者を選ぶために行なわれてきた行政手法は、いわば「配給制」である。まるで戦時中だ。それもそのはずで、わが国の保育制度を規定している「児童福祉法」は、終戦直後の一九四七年に制定された法律なのである。一部の改正はあったものの、制度の根幹は六十年間も変わっていない。 「配給制」の意味を説明しよう。児童福祉法での保育の位置づけは「福祉」である。児童福祉法によれば、本来は専業主婦の母親によって育てられるべき子供が就労等の特殊な事情によって育てられない場合、その「哀れな子供」を救済する福祉施設が保育所なのである。その象徴的な言葉が「保育に欠ける」子である。信じがたいことであるが、児童福祉法では、保育所にいる児童を「保育に欠ける」子と呼ぶ。母親が働くような「欠