国際通貨基金(IMF)主導の国際協調介入でも、アジアの混乱は収まらない。 回復の主役を担うべき日本は、内需不振が鮮明になってきた。 東南アジア諸国連合(ASEAN)の危機が深刻化するなかで、中国でも国営企業の経営悪化が経済の腰を折る。 アジアで勃発した同時デフレが日本を襲い、米国や欧州まで波及する。 「世界恐慌のシナリオ」さえ、現実味を帯びてきた。 (寺山 正一、谷口 徹也、田原 真司=香港支局) 中国「独り勝ち」が音を立てて崩れだした アジア経済危機の背後には、この15年で輸出工業国として急成長した中国の圧力がある。低賃金でかつ無尽蔵に近い労働力を持つ中国は、繊維など労働集約型の工業製品で圧倒的なコスト競争力を持つ。同じ土俵で競う限り、人口が少なく独自技術の蓄積も足りないASEANに勝ち目はない。今後は中国の独り勝ちのはずだった。 ところが、ASEAN通貨の暴落が続き、経済危機が先進工業