研究資料 ソシュールの思想 解題 科学知がゆきついてしまった限界を克服するところに形成される知の形態を文化知と規定するとき、それは人間の社会的存在についての知となる他はない。そしてそれは社会的人間にとっての身近な存在である商品や言語や政治の解明を不可欠のものとする。 そこで言語とは何か、ということについての解明を進めようと思うが、その際にまずソシュールの思想の研究から始めることが必要である。ところがソシュールについては、有名な『一般言語学講義』の文献学的研究が進むことで、この「講義」の原資料に当たることが義務づけられるが、しかし、厖大な原資料はまだ翻訳されていない。 現在日本語で読めるソシュールの文献は、原資料の第二回講義の序説が前田英樹訳『ソシュール講義録注解』(法政大学出版会)として出版されているだけである。あと、「論議」についての厖大なテキストフリティークをしたしめたデ・マウロのイタ