「小説を書くというのは自己解放だとは思わない。自己変革だと思うわけ。」(村上春樹) 「そう。自己表現でもないと思う。」(村上龍) 「ウォーク・ドント・ラン/村上龍 vs 村上春樹」 ********************************************* 文章を書くという作業は、本当に楽しい。 頭の中に浮かんでは消えるイメージに形を与え、その居所を決める。 もちろん全てがあらわせるわけでもない。 すくい上げようとした指の間をすり抜けて、消え去るイメージはあまりに多い。 いちど形にしそこねた思いは、二度と姿を表さない。 言葉が見つからないことも多い。 思いついたテーゼが思いのほか難敵で、書きかけのまま寝かせられる。 ハードディスクにはそんな書きかけのテキストファイルが山のように眠る。 また、書き上げてから全く違っていたことに気が付くこともある。 書くべきではなかったと気が付