この30年間で「人類の暮らしは格段に良くなった」 ──約20年前にグローバル資本主義を批判していたのは、特に反グローバリズム運動の活動家であり、左派でした。しかし、いま批判する人の多くは、主権の奪還を求める右派です。 20年前、私は自由貿易と移民の受け入れを擁護したら、右派だとさんざん批判されました。最近は同じ主張をすると、極左だと批判されます(笑)。当時は資本主義によって貧しい国が搾取されると言われました。しかし、実際には、資本主義のグローバル化によって、数億人が貧困から抜け出せたのです。すると今度は、右派やナショナリストが資本主義のせいで裕福な国が貧しくなっていると主張し、保護貿易を推進しはじめました。 こうした批判をする人は、左派・右派を問わず、世界をゼロサムゲームだと考えています。要するに、誰かが勝ったら、別の誰かが負けるという考え方です。市場や経済の仕組みがわかっていないからこそ