エロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。エロスには政治がわからぬ。エロスは、村の牧人である。笛を吹き、TENGAで遊んで暮して来た。けれども先端は人一倍に敏感であった。きょう未明エロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のシラクスの市にやって来た。エロスには父も、母も無い。乳房も無い。三十の、内気なエロ漫画家と二人暮しだ。このエロ漫画家は、村の或る律気なエロ同人描きを、近々、足りないアシとして迎える事になっていた。面接も間近かなのである。エロスは、それとは関係なく、同人誌を買いに、はるばる市にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。エロスには三角木馬の友があった。セリヌンティウスである。今は此のシラクスの市で、別のエロ漫画家のアシをしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ね