服ひとつで、人の意識は簡単に変わってしまう小室哲哉さんが引退を表明した。ひとつの時代が終わった。 昨年末から、「限界なんだ」という言葉を小室さんから聞いていた。その意味が僕にはよくわかった。小室さんに曲をお願いすると、いつも素晴らしい楽曲を仕上げてくれる。でも、小室さんは満足していなかった。新曲も「小室サウンド」と呼ばれてしまう。以前の自分以上のものが生みだせなくなっていると感じる。あまりにも自分に厳しすぎた。本物の天才なんだと思う。そういう気持ちになっているところに、あの報道があって、小室さんは引退を決めた。 僕は小室さんが昔から引き際を大切に考えてきたことを知っている。仕事のペースを落とし、時々曲を発表し「そういう人もいたな」と思いだされる。そんな音楽家ではありたくないという美意識を知っている。 そして、小室さんは今回、ご自身で結論を出した。それは、誰も何も言うことができない領域のこと