元日本代表FW久保竜彦、コーチとして新たなスタート (1/3) 「“うまくなりたい”子どもの手助けを」 その男の表情からは、鋭さが消えていた。現役時代、ピッチ上で見せた相手を射抜くような瞳ではなく、まるで慈父のような温かさで、サッカー少年たちを見つめていた。 「ええ感じや」「うまいぞ」 何気ない彼の一言が、子どもたちを燃えさせる。打つ、打つ、打つ。とにかく、シュートを子どもたちは打ち続ける。その姿を、久保竜彦コーチはずっと見つめている。 サンフレッチェ広島や横浜F・マリノスで活躍した元日本代表FW、というだけでは表現しきれない記憶に残るストライカー。天空で止まっているかと思わせるほどの跳躍。「面倒臭いから」と後方からのロングボールをそのままボレーでたたき込む野性味と発想力。アフリカ系の選手を思わせる抜群の身体能力と寡黙だが素朴な人柄を、多くのサッカーファンは愛した。 それほどの大選