和歌山県太地町のイルカ漁を取り上げた米映画「ザ・コーヴ」の米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞に、地元や漁関係者からは困惑と反発の声が上がった。同町などは、映画の内容には漁に対する偏見から事実誤認があると主張。すでに今夏の国内配給も決まっているが、公開までには曲折がありそうだ。 「作品には事実誤認がある。正確な内容でないのに受賞したのは驚きだ」。太地町の三軒一高(さんげん・かずたか)町長は戸惑いを隠さない。国内公開については「常識があるところは取りやめてくれるだろう。町として、イルカ漁の正当性を国内外に主張していきたい」。 漁業法などに基づき、同町のイルカ漁を許可している和歌山県の仁坂吉伸知事も「長いあいだ太地町で行われてきた生活を守る営みを、一方的な価値観や間違った情報で批判するのは紳士の道に反する」と話した。 無許可で撮影するクルーと漁師らとの間では、撮影段階からトラブルが起