昨年秋のドラフトで巨人が大田泰示を一位指名するのを見て、ため息が出た。東海大相模でショートを守り三番を打っていた大田は、私の15年の高校野球取材の中で間違いなく一級品の野手である。総合力で見れば中田翔(日本ハム)より上かも知れない。だから大田を「ドラ一」で指名するのはわかる。 しかし巨人には昨年、全試合スタメン出場を果たした19歳の遊撃手坂本勇人がいるのである。あの二岡智宏をなんとか日本ハムに追い出してやれやれと一息つこうかと思ったところに、ひとつ下の18歳の超高校生級選手があとから追いかけてくる。ドラフトの指名を見て坂本の胸はざわめいたのはではないか。 「巨人軍は休ませてくれない」と言ったのは、V9時代に槌田誠、吉田孝司と次から次へと大物捕手を補強された森祇晶だったか。まったく、巨人は休ませない。その坂本の気持ちを忖度して思わずため息が出たのである。今季首位打者を疾走する坂本の飛ばしっぷ