大不況の到来で小泉改革以来の競争原理導入の見直しが強まっている。昨今の雇用状況を考えれば、苛烈(かれつ)な競争原理への反省も生まれよう。しかし、これはものごとの裏表で、競争原理と保護主義はバランスよく適用されなければならない。むしろ今こそ保護主義を廃して競争原理を導入しなければならない分野もある。新聞マンガである。 日本マンガは質量ともに世界最高水準で、文化産業としても文化外交戦略上でも、きわめて重要になっている。日本マンガがかくも水準が高い一つの要因は、強い競争原理が働いているからだ。日本マンガの出版の特徴は、まず雑誌連載があり、そこで読者の支持を勝ち得たものが単行本になることだ。競争原理が二度も働いている。これはこれで極端な商業主義になる弊(へい)もあるが、メリットでもある。 一方、宅配システムに支えられ、報道記事や文化記事とともに護送船団方式で連載されているのが、新聞マンガだ。競争原