メロ子は激怒した。必ず、東京の大学に進学せねばならぬと決意した。メロ子には封建社会がわからぬ。メロ子は、オリーブ少女である。インディーズバンドを聴き、漫画を読み、県庁所在地にある県下随一の進学校に通って暮して来た。けれども男尊女卑に対しては、人一倍に敏感であった。 メロ子には、同じく県下随一の高校に通う竹馬の友があった。セリヌンティウ美である。今は此のシラクスの村で、ニコニコの生主をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。セリヌンティウ美の家につくと、メロ子は、家庭の様子を怪しく思った。そこでセリヌンティウ美の弟をつかまえて、何かあったのか、以前この家に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、 賑やかであった筈だが、と質問した。弟は、首を振って答えなかった。 メロ子はセリヌンティウ美の母に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質