6年前の今日、ぼくは広告代理店の2年目で、ちょうどアートディレクター的な仕事をし始めた頃でした。 広告業界では世の中にとって良い行いをする事が結果的に広告になるという、いわゆる「ソーシャルグッド」が注目され始める前夜だったと記憶しています。 まだ「ソーシャルグッド」の様に気が利いた言葉に言語化されてはいませんでしたが、ぼくはずっと自分のアイデアが世界を良くできると信じていました。 震災があった日、自分の出来る事の少なさに愕然としました。それまで、コンビニで募金箱を見るたびに「小銭を募金するくらいなら、自分は世界を良くするアイデアを考えてやる」と本気で思っていました。あの日から、ぼくは募金箱を見る度にじわりと無力感を思い出す様になりました。何でもできると思っていた自分が、何もできないと痛感した年でした。 広告業界には、そんなアイデアの力を信じている人達が大勢いました。それとは裏腹に、日本中の