北朝鮮の朝鮮人民軍元幹部の証言を受け、政府が洋上での日本人拉致について本格調査に乗り出した。証言からは、動機や被害者の活用法、手口などが詳細に浮かび上がる。証言内容は1年前には日本側に伝えられていたというが、「参考情報」扱いだった。拉致という主権侵害に加え、殺害もいとわない犯罪行為があったのか-。事実の徹底解明が求められる。 ■基地、原発破壊 元幹部によると、1960年代初めから始まった軍工作員による日本への浸透作戦は、来る対韓国開戦に合わせ、日本にある米軍基地や原子力発電所を破壊するための「軍事地図」作成が目的とされた。これに連動して、主に地形や侵入経路などの情報を確認するために漁船の日本人拉致も開始されたという。 元幹部は「漁民は海岸線の状態や警備状況、レーダー網についてもよく知っている」とし、「陸上で拉致するより、発覚の危険が少ないこともあった」と説明。拉致被害者を教育し、情報収集の