飛蝗禍を描いた作品は小説、コミックと数多い(数多い?)が、全編これバッタだらけ、しかも博士の故郷・東北が舞台という作品は『蒼茫の大地、滅ぶ』のみ。写真手前は1978年刊の初版。復刻版は近日、荒蝦夷より刊行予定。(撮影・編集部) バッタの大群に立ち向かうのは、時代の動きを読むことに長けた青森県知事・野上高明。首相の座を狙える位置にいながら中央政府を退いた政治家。中央政府と闘う際に「私が、憲法だ」と東北を救うために奮い立つ。そして、彼が右腕として救いを求めたのが弘前大学の昆虫学者・形部(ぎょうぶ)保行。形部は飛蝗対策委員会の責任者を経て東北の治安を司る責任者として、軍人のごとく奮起する。形部の年老いた師匠である日本で数少ないバッタ研究者・秋野平造はバッタを説明するのに、 「飛蝗を英語ではローカストと略していうが、ローカストなる語源はラテン語から来ていて〈焼け跡〉の意味だそうだ。飛蝗に襲われたら