2016(平成28)年のアニメを振り返ると、とにかくアニメ映画の強さが光った。8月に公開され、邦画歴代2位の興行収入を記録した映画「君の名は。」は言うに及ばず、「聲(こえ)の形」や「この世界の片隅に」など、名作揃いの1年に。「響け!ユーフォニアム2」などテレビの深夜アニメにも良作が並び、アニメの多様性を示した。その一方で、放送延期などアニメ制作現場の“歪み”が表面化した年でもあった。 ■圧倒的な爽やかさ 正直に言うと、「君の名は。」は、今年一番公開を楽しみにしていた映画だった。以前、別の映画を劇場で見た際、「君の名は。」の予告に心ひかれたからだ。変に小難しそうだったり、暗そうだったり、キャスティングに無理がある映画が少なくない中、「君の名は。」はスクリーン一杯に「圧倒的な爽やかさ」が広がっていた。 実際に、公開初日に映画館に行ったところ、席がすべて埋まっていた。翌朝に再訪したが、すで