超心理学はここ100年間、ほとんど進歩しなかった。少しばかりの報告例を増やしたのみである。これはオカルト作家のコリン・ウィルソンが何度も嘆いていることだ。超心理学や魔術、オカルトのたぐいは、現代社会にほとんど実質的な成果を上げていない。 それに対して科学技術は過去100年間、いや実際には500年間以上だが、大成功を納めた。日本からアメリカに行くのには「飛行機」を使うのであって、「魔法使いのほうき」で飛んでいくのではない。日本からアメリカに意志を伝えるのには「電話」や「ファックス」を使うのであって、「テレパシー」ではない。結核菌などでの死者を減らしたのは「抗性物質」であって、「祈祷士や魔術士の祈り」ではない。万事この調子である。飛行機、電話やファクス、抗生物質は、100年前にはなかった物であり、現代科学の枠組みでのみ、その原理が理解できる。こういう意味で、現代科学は完全でないにしろ、近似的に