「年齢を重ねるほど、一つひとつの決断が重大になってくるように感じます。あらゆることの重大性が増すかのようです。『大学に残ること』もそうです。このままドロップアウトせず大学に残っていたら、巨大企業を作るチャンスを逃してしまうんじゃないかって思ったりします...」 フィグは手を膝の上で組んで、じっと耳を傾けています。 「もし、大学を辞めていたらどんな人生になっていたんでしょうか」 「大学に残ったことを後悔しているのかい?」 フィグはまったく率直な人です。質問に答えると、また別の質問を投げられます。そうして次々と質問に答えていくと、いつの間にか問題の核心へとたどり着いているのです。フィグが自分の話をすることはめったにありません。 「普段はちがいます。でも時々『もしそうだったら』という思いに取りつかれてしまうのです。そしてその考えを消すことができなくなります。どこかで耳にしたのですが、先生は『しな